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「日本人に系統的に異なる2大グループが存在することは、従来の遺伝マーカーである血液型などでは見つかっておらず、ミトコンドリアDNAの分析で初めて観察された知見」とH氏は報告している。 さらに興味深いのは、静岡では20パーセントの人がグループ1に属するのに、沖縄ではわずか5パーセントだけで、残り95パーセントはグループ2に属していた。
どうやら遺伝子から見た日本人は、2つのグループに大別できるように思える。 しかし、静岡と沖縄における結果が大きく違う理由は、これだけのデータからでは説明できない。
そこでさらに分析対象を広げて、白人、黒人そしてアジア人のデータも入れることで、モンゴロイドがもつ特徴を明らかにした。 これまでのところルーツが不明だといわれている、アイヌ人のデータも集めた。

同時に、古代人も分析対象とすることで現代人との比較ができると考え、取り組んだのが縄文時代の人骨からDNAを抽出する作業である。 H氏は、人骨が化石化すると骨の成分が変化しこれまでをまとめ、H氏の研究結果を従来の学説と照らし合わせてみると、転換説ではなく渡来説のほうを支持しているようだ。
もし縄文人が弥生人に転換したのであったら、遺伝的なつながりが色濃く見られるはずなのに、H氏のデータにはそれがない。 そして弥生人が渡来して権力を握ったと考えると、日本の中央部に多く存在していて追われた縄文人のほうは、北か南の土地で生活したというシナリオが成り立つ。
この内容そのものは、いまにはじまったものではなく、考古学などによる従来の学説でも提唱されていた。 H説は、それをDNA解析の面から補強したことになる。
このように遺伝子を分けてしまうが、いわゆる白骨化した遺体ならばミトコンドリアを取り出すことができるだろうと考えたのだ。 実際、11体の人骨からのミトコンドリアDNAの抽出に成功して、現代人たちと同じような配列のチェックを行うことが、研究界で初めて可能となった。
こうして、総合的な研究として何がわかったのか。 H氏はこう解説している。
「日本人の集団が、『少なくとも2つの大きく異なるグループに分かれる』ことが明らかにされてきました。 縄文人とアイヌに代表される日本の原住民は、現代日本人のグループ2に相当することになります。
そして、弥生時代以降に大陸から移住してきた人たちの一部が、現代日本人のグループ1に該当するかもしれません」さらにH氏は、縄文人と現代のインドネシア人やマレーシア人など東南アジア人とは、共通の遺伝的起源をもっていると指摘している。

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